紙飛行機からはじまった大冒険

「もっと遠くまで飛ばしたい!」
ある日、4・5歳児クラスで夢中になっていた紙飛行機遊びの一言から、クレアナーサリー市ヶ谷の園全体での探求が始まりました!
見えないけれど確かに存在する「風や空気」に出会い、子どもたちは五感を通じて感じ取り、考え、試し、仲間と共有しながら新たな発見を重ねていきました。
今回は、0歳から5歳までの取り組みを振り返り、その学びのプロセスをご紹介します。

風を感じる0歳児

まだ言葉で考えを表現することが難しい0歳児にとって、体験そのものが探究の入り口です。
0歳児の子どもたちには空気・風を感じながら好む遊びを展開していきました!

風にのってゆらゆらとんでいるシャボン玉をみたり、空気の入ったバルーンマットの上で楽しんだりました。
シャボン玉がふわりと舞い上がるときゃっと笑顔がはじけていました。
また、バルーンマットの上に寝転がると、自分の動きと連動して中の空気が動くことに目を丸くして驚いていました!
冬のお散歩中には「さむいねー」「つめたいね」と保育者が言葉にしながら一緒に風を感じていました。

遊びの中で風や空気を体感することで、探究の芽が育っていっているようでした。

空気の存在に気づく1歳児

1歳児になると、空気がたまると大きくなることや風の強さや冷たさに違いがあるといった気づきが出てきました。

しっぽ取りや凧あげを通して、走ると風が起こることを体で感じていました。
また、ビニール袋風船やエアポリンでは、空気が入ると膨らんだり跳ねたりすることに気づき、「大きい!」と声を出して喜ぶ姿が見られました。
散歩や園庭遊びでは風に吹かれて「さむい!」と子どもたちが言葉にしたり、シャボン玉が風で飛んでいく様子を大喜びで追いかけたりし、全身で風や空気を楽しみました。
活動を通して空気というものを体感的に理解していきました!

空気を使って遊ぶ2歳児

2歳児の子どもたちは、活動と探求の中で風や空気の変化に気づくだけでなく、空気を使った遊びを楽しむようになりました。

エアポリンで遊ぶと、空気が入っているときには軽やかに跳ねられるのに、抜けると続けて跳ねられなくなることを体験しました。その違いに気づいた子どもは「もう一回」と保育者に合図しながら、再び空気を入れて遊びを続けました。
友だちが跳ねると自分の体も揺れることを発見し、互いの動きと空気の関係に興味を持ちました。

散歩に出かけると「今日はあったかい風」「冷たい風」と風の違いを言葉で表現する姿も増え、体験を通じて感覚を言葉に結びつけていきました。

風の見える化に挑戦する3歳児

3歳児の活動の中で「風は見えない」という気づきから、どうしたら見えるだろうとクラスで探求しました!

例えばある日は、折り紙で風車を作り、風の見える化に挑戦!
自分で選んだ色や模様をつけ、完成した風車を手に園庭や散歩先で試しました。
風が弱い日には回らず、子どもたちは息を吹きかけて回す工夫をしました。風が強い日に走ると勢いよく回り、風の強さや速さが風車の動きと結びつくことを体験しました。風車を通して、見えない風を「見える形」に変えることができると理解し、探究心がさらに広がりました!

風の力を試す4歳児

4歳児の活動では、風や空気を使って「何が飛ぶのか」を考える時間を持ちました。
テーブルにさまざまな素材を置き、風で舞い上がるものや重くて飛ばないものを比べました。

エアポリンでは、大勢で乗ると空気が抜けてしまうことを体験しました。子どもたちは互いに声をかけ合いながら遊び方を工夫し、空気の存在をより意識するようになりました。

こうした活動を通じて「もっと強い風だったら飛ぶかもしれない」「空気の力で新しい遊びができるかもしれない」という想像が広がっていきました!

風の探究者の5歳児

5歳児の活動は、紙飛行機遊びを発端にさらに広がっていきました!
羽の大きさや紙の厚さを変えながら、子どもたちは何度も挑戦!

「大きな紙だとよく飛ぶ」「重ねすぎると落ちてしまう」と気づき、自然に友だちと意見を交わす場面が増えました。廊下やホールで思い切り飛ばしたり、図鑑を開いて本物の飛行機の仕組みを調べたりする子も。紙飛行機に窓やエンジンを描き込み、より本物に近づけようとする工夫も見られました。

散歩中に空を飛ぶ飛行機を見つけたり、風で砂が巻き上がる様子を観察したりしながら、日常生活の中でも風や空気を探そうとする姿が増えていきました!

保護者とつなぐ探究の輪

探究活動での子どもたちの発見や喜びは、園の中にとどまらず、保護者様にも積極的に共有しました。

日々の様子を連絡帳や園だよりで伝えるほか、写真を掲示して具体的に紹介しました。
家庭でも「今日は風が強いね」と子どもが話し、親子で風を感じるきっかけになったという声もありました。

また、すくわくプログラムの最後には保護者様もご招待し、園で研究発表会を開催しました!
園と家庭をつなぐことで子どもの学びはさらに広がり、保護者様とも子どもの成長を共に喜び合うことができました。

保育者と園全体の学び

今回の取り組みを通して、子どもたちは風や空気という目に見えない存在を体験的に理解し、自分の言葉や遊びで表現しました。
保育者にとっても学びがありました。子どもたちの小さな声や仕草を丁寧に記録し、担任同士で振り返ることで、次の活動につながるアイデアが生まれました。

加えて、クラスを越えて職員全体で情報を共有したことにより、異年齢の子どもの姿や発達段階に応じた探究の広がりを互いに知ることができました!
例えば、1歳児がエアポリンで空気が膨らんでいく様子や大きく揺れる感覚を楽しんでいたのに対し、2歳児は同じエアポリンを通して「空気が入っていると跳ねられる」「抜けると跳ねられない」という違いに気づいていました。年齢が上がることで、同じ遊びの中でも感じ取る視点や学びが変化していくことを職員全体で確認し合う場面がありました。同じ遊びの中での発見の違いを比較し、子どもの学びが年齢に応じて連動して深まっていくことを職員全体で共有しました。

このような横のつながりが保育者同士の刺激となり、活動を発展させる原動力になったと思います。
振り返りの時間を持つことで子どもの問いにどう応えるか、次はどんな環境を準備するかといった共通の視点が生まれたこともよかったことの一つです。
活動を通して個々のクラスでの経験が園全体の知見として積み上がり、保育の質を高めていく土台になっていったと思います。

問いが学びをつくるクレアナーサリー市ヶ谷

「どうしたらもっと飛ぶのかな」という一言が、園全体を巻き込んだ探究活動の出発点となりました。

0歳児は風を体で感じ、1歳児は空気の存在に気づき、2歳児は空気を使って遊びを広げました。
3歳児は風を見える形にし、4歳児は風の力を実験し、5歳児は紙飛行機を通じて仲間と考えを深めました。
年齢ごとの発達に応じた探究がつながり、園全体にわくわくする学びの流れが生まれました。

子どもたちの問いは、保育者にとっても新たな学びの種です。これからも一つひとつの「なぜ?」を大切にしながら、子どもと一緒に風を感じ、未来に向かう探究を続けていきます。
   

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