ミルクを飲ませる時期は0歳児~1歳児頃まで

赤ちゃんにミルクを飲ませる時期は、一般的には0歳から1歳~1歳半といわれています。ミルクを飲む時期は子どもによって差があるため、保護者様とコミュニケーションをとりながら適切な対応をとりましょう。

ミルクは赤ちゃんにとって大切な食事です。また、乳児期は感染症にかかりやすいため、保育士さんは正しい衛生管理とミルクの作り方ををしっかりと身につけることが大切です。

子どもにミルクを飲ませるタイミングと体調確認

赤ちゃんにミルクを飲ませる間隔は、3~4時間が目安です。授乳の記録から子どもが最後にミルクを飲んだ時間や量を確認し、適切なタイミングを確認します。タイミングを図るためには、保護者様との相談が大切です。朝のお預かりの際に直前に飲んだ時間や当日の体調なども気にかけて聞くようにしましょう。

また、ミルクを飲ませる前に、必ず保育士さんが子どもの健康状態をチェックしましょう。体調が悪そうな場合やミルクを飲まない場合は無理に飲ませず、看護師や保護者様に相談します。
園では、調乳者の健康チェックは必須事項です。たとえば、アルファコーポレーションが運営する園では、調乳者は毎月の細菌検査と毎日の調乳者の衛生管理に関するチェックを実施しています。園のルールを確認した上で、遵守しましょう。

次の記事では、保育園で冬や夏に流行りやすい感染症の種類と対策を詳しく解説しているので、あわせてご覧ください!

保育士さん向けミルクの作り方【調乳の手順】

ここでは、保育士さん向けに粉ミルクの作り方を解説します。調乳方法は粉ミルクの種類や保育園のルールによって異なるため、チームの先輩や同僚に確認しながら確実に身につけましょう。
参考資料:厚生労働省 WHOガイドライン要約 哺乳ビンを用いた粉ミルク の調乳方法

1.調乳時に準備するもの

保育園で調乳する際は、次の5つを準備するのが一般的です。飲料水は、水道水またはミネラルウォーターを使用します。消毒に使うアイテムは保育園のルールを確認しましょう。

調乳時に用意するもの

  • 消毒した哺乳瓶
  • 粉ミルク
  • 飲料水(水道水またはミネラルウォーター)
  • 清潔なふきん
  • アルコール消毒スプレー


2.調乳場所の清掃と消毒を行う

衛生の観点から、調乳は園で定められた場所のみで行います。
粉ミルクを調乳するテーブルの清掃と消毒を行います。汚れが目立つ時は、先にふきんで水拭きをしましょう。
アルコール消毒スプレーをテーブルに直接、または乾いたふきんかキッチンペーパーなどに噴射し、テーブル全体を拭き取ります。
調乳場所は常に衛生的に保つことが必須です。調乳台、流し台、蛇口は毎日洗浄しましょう。

3.念入りに手を洗う

ハンドソープを使い、爪の間や親指の付け根、手首などに洗い残しがないよう30秒以上揉み洗いし、流水で15秒以上流します。清潔なふきんまたは使い捨てのペーパーなどで水を拭き取り、最後にアルコール消毒スプレーをすると安心です。

4.お湯を準備する

飲料水を沸騰させます。ポットを使用する際は、スイッチが切れるまで待ち完全に沸騰したことを確認しましょう。鍋を使う場合はしっかり沸騰していることを確認しましょう。ボトル入りの水も無菌ではないので、使用前に沸騰させることが大切です。
70℃以上のお湯でミルクをときます。70℃以上を保つために湯は沸騰させたあと30分以上放置しません。
お湯を70℃まで下げる理由は、粉ミルクの成分を保ちながら、粉ミルクの中に含まれている可能性がある菌を殺菌するためです。

5.粉ミルクを計量する

粉ミルクの説明文を読み、必要な粉の量とお湯の量を確認します。この時、粉ミルクが多くても少なくてもNGです。添付されたスプーンを使用して、規定量をすりきりで正確に測ります。

6.粉ミルクとお湯を混ぜる

粉ミルクの種類によって、先に粉を入れてからお湯を入れるタイプとに哺乳瓶にお湯を入れてから粉を入れるタイプがあります。
お湯は必ず70℃以上に保ち、哺乳瓶に正確な量を注ぎます。沸騰してから30分以上経った水は使用しないようにしましょう。

フタを閉めたら、火傷防止のために清潔なふきんなどを使って哺乳瓶を持ちます。哺乳瓶をゆっくり回転させるように混ぜ、粉ミルクのダマが残らないように完全に溶かします。

7.ミルクの温度を確認する

哺乳瓶を流水または氷水などで冷やし、授乳に適した体温程度(約37℃)まで下げます。中身の汚染を防ぐために、水は哺乳瓶のキャップより下にあてましょう。
温度確認は、手首の内側にミルクを数滴たらして生温かさを感じられればOKです。

8.哺乳瓶の洗浄と衛生管理を行う

使用後の哺乳瓶は速やかに洗浄し、次回使用する時のために哺乳瓶と乳首、キャップを消毒します。同時に、乳首に破損がないか、ミルクがスムーズに出るかを確認します。
衛生管理のため、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは捨てましょう。また、作り置きもしないようにします。

保育士さんがミルクを作る時の注意点【保育園でできる工夫】

複数の子どもを受け入れる保育園では、ミルクの識別や時間管理、アレルギー対応なども求められます。続いて、調乳時の注意点と、保育のさらなる向上とスムーズな業務につながる工夫改善のアイデアを紹介します。

哺乳瓶を色分けする

授乳時に使う哺乳瓶は、子どもごとに異なります。哺乳瓶を間違えると、ミルクが飲みにくくなるだけでなく、感染症の拡大につながる場合もあります。また、哺乳瓶の乳首にはS・M・Lなどサイズがあります。飲む量や子どもよっても乳首のサイズが異なるため、事前に確認しましょう。
忙しい業務の中で保育士さんが一目でわかるように、名前シールやカラーテープなどを使って識別できる工夫をしましょう。

ミルクの温度に注意する

授乳時のミルクの温度は、腕にたらすと生温かさを感じられる約37℃程度がベストです。
温度が高いと赤ちゃんがやけどをしたり、冷ましすぎてしまうと赤ちゃんが飲まなくなったりする可能性があるため、適温を維持しましょう。また、衛生管理のため、調乳後2時間が経過したミルクは廃棄します。
また一旦、口をつけたミルクは、飲み残し後30分を超える場合は、雑菌が増えており健康被害の可能性があるため廃棄しましょう。

記録ノートで情報共有する

0歳児から1歳児を預かるクラスは、複数の保育士がチームになり、交代で担当することが多いでしょう。
保育士全員がスムーズに対応できるように、記録ノートやホワイトボードなどに「健康状態」「ミルクを飲ませた時間」「授乳時の様子」を記録し、他の保育士と共有します。
また、保護者様から得た情報も記録し、乳児担当の職員がいつでも確認できる体制を整えることが大切です。

アレルギーなど一人ひとりに合わせた対応を行う

授乳時に使う哺乳瓶の乳首の大きさや粉ミルクのメーカー、飲む量、時間間隔などは子どもによって異なります。保護者様と「食物アレルギーの有無」「おうちでの授乳方法」「最近の変化」などを共有し、一人ひとりに合わせた対応を行いましょう。
食物アレルギーがある子どもには、アレルギー対応の粉ミルクを使用します。

タイマーやアプリでの時間管理もおすすめ

ミルクを飲ませる時間間隔や調乳後の時間経過を管理するために、タイマーやスマートフォンのアプリを活用する方法もあります。アラームが鳴ることで保育士さんも確実に気付けるので、ミルクの与え忘れや衛生管理のミスを防げるでしょう。

保育士さん向けミルクの飲ませ方【授乳のコツ】

保育士さんの中には、「赤ちゃんのミルクはどうやって飲ませたらいい?」「最初は勇気がいる」と考えている人もいるのではないでしょうか。ここでは、0歳児~1歳児を安心させる方法と飲ませ方のコツを紹介します。

姿勢を整え、声をかける

赤ちゃんを片腕で抱き、頭と首を支えながら、保育士さんの身体と平行になるよう抱きかかえます。飲んだミルクの逆流や空気が溜まることを防ぐために、体を軽く起こした姿勢にします。
同時に、安心感を与えるために、笑顔で赤ちゃんと目を合わせながら声をかけましょう。

ペースを合わせながらミルクを飲ませる

哺乳瓶の乳首に空気が入らないように、哺乳瓶を45°程度傾けます。赤ちゃんがむせないように飲み込むペースに合わせ、飲むのを止めたり疲れた様子を見せたら休憩を挟みます。
飲みづらそうにしている場合は、哺乳瓶のキャップを緩めたり乳首の角度を傾けたりして調節しましょう。

ミルクを飲ませた後のケア

赤ちゃんがミルクを飲み終わったら、清潔なガーゼなどで口元を拭きます。
その後、赤ちゃんを縦に肩に抱きかかえ、優しく背中をたたいてげっぷを促します。子どもによってはげっぷが必要ないケースもあるので、保護者様に確認しましょう。げっぷが出ないと空気が溜まって吐き戻しをすることもあるため、しばらく注意して様子を見守ります。

授乳が完了したら、ミルクを飲んだ時間や量、子どもの様子を記録します。複数の職員が対応する場合は、子どもの様子や変化をノートや口頭で共有しましょう。

ミルクの作り方と飲ませ方を身につけて、安心して対応しよう!

保育士がミルク作りを行う際は、徹底した衛生管理と正しい手順を守ることが大切です。
基本的な流れを身につけたら、子どもたち一人ひとりに合った対応や現場に適した工夫を取り入れることで、より質の高い保育が実現します。

ミルクの作り方や授乳の方法は保育園によって異なるので、周囲の先輩や同僚とコミュニケーションをとりながら取り組んでくださいね!

次の記事は、アルファコーポレーションの保育園で働く栄養士が仕事内容や食育について語るインタビューです。授乳期の子どもたちの成長後のステップとして、ぜひご覧ください!
   

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