指導担当が悩む、保育実習日誌のコメント

保育実習日誌は、保育園に来た実習生が、その日の環境構成や子どもたちの活動、保育者の援助・配慮、実習生の動き・気づきを記録し、子どもたちの生活を把握して自分のかかわりを見直すことに役立てるものです。

実習生を指導する実習担当者は、この日誌を毎日チェックして、添削しコメントを書きます。

中には、「添削のコツが分からない」「どのようなコメントを残したらよいのか」など迷う人も多いでしょう。

実習生が保育士として成長するためには、日々を振り返ることが大切。そのために、指導担当は実習日誌の添削やコメントの書き方を覚えて、一人前の保育士を育てていきましょう。

以下の記事では、保育園での職員面談のポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

保育実習日誌の添削のポイント

保育実習日誌を添削するときのポイントとして次の4つを意識しましょう。

目的をはっきりさせる

保育実習日誌の目的

  • 子どもへの理解を深めること
  • 保育士の役割を学ぶこと


実習生への指導がぶれると、立ち振る舞いに迷いが生じるでしょう。まっすぐな成長をサポートするためにも、上記のような保育実習日誌の目的を意識して添削しましょう。

コツは、毎日の実習目標を大切にすることを伝えつつ、それを達成するために必要な行動や観点を自身で考えられるようにすること。

実習生が自分から気づく機会を与えられるようにすることも大切です。

分かりやすい言葉を心がける

コメントの書き方で大切なのは、分かりやすい言葉で説明すること。文章が苦手という人は、要点を抑えたポイントを箇条書きで書いてみましょう。

また、3歳児・4歳児クラスなど年齢によって援助方法は異なります。クラスの状況や取り組みの狙いなどもしっかり伝えましょう。

付箋を貼ったり、重要な部分に下線を引いたり、読みやすさを配慮し、「伝えること」を意識してください。

注意点を伝えながらも肯定する姿勢は忘れない

添削する立場は、気が付くと注意点ばかりになってしまうことも。実習生の考えや行動を褒めることを意識しましょう。

ネガティブなコメントばかりだと、実習生が落ち込んでしまい、反省から次のステップに気持ちを切り替えることができなくなります。

自分の実習はどうだったかを思い出して、「どんな言葉がうれしかったか」「どんなコメントが参考になったか」を考えながら、前向きな姿勢を持たせる工夫をしましょう。

誤字・脱字や文章表現をチェック

誤字や脱字、話し言葉のような文章表現がないか気を付けながら添削しましょう。

実習生は、ゆくゆく保育士となって、保護者様へのお便りや連絡帳などを書くことになります。その時に、間違った日本語を使わないようにするためにも、今のうちから身につけておかなくてはなりません。

ありがちな話し言葉は、ら抜き言葉や「やっぱり」「ちゃんと」「なので」などです。不安なところは自分でも調べて、正しい言葉遣いを伝えましょう。
また、「~させる」「~してあげた」といった言葉は、子どもを尊重する保育現場ではあまり使わないもの。これらを使っている場合も同様に的確な指摘をしましょう。

保育園によっては日誌の表記ルールがある場合もありますよね。その場合は、事前に書き方のルールをまとめた資料を作っておけば、指導がしやすくなります。

保育実習日誌のコメント例文4選

ここからは、実際に使える保育実習日誌のコメント例文をご紹介します。

1:注意点が目立つ日のコメント

注意点が目立つ日は実習生の意欲を損なわないように、励ましや具体的なアドバイスをして前向きな気持ちにさせて締めくくりましょう。

【NG】

5W1Hがはっきり書かれていないため、状況が分かりづらいです。また、子どもたちの名前は間違えないようにしましょう。

【OK】

子どもたちへの声かけが多く、積極的なコミュニケーションが素晴らしいです。目線を合わせて話す姿勢に子どもたちも親しみを覚えているようです。

子どもたちの名前を覚えることは大変ですが、日誌では間違えないように細心の注意を払いましょう。うろ覚えで不安なときは聞いてくださいね。

名前を正しく記してエピソードを記録していくことで、それぞれの個性の把握がしやすくなりますよ。

また、日誌では「いつ・どこで・だれが・なぜ・どのように・何をしたか」を意識して書きましょう。状況を詳しく記入したいときは、これらを抑えると読み手に伝わりやすくなります。

ぜひ試してみてくださいね。

2:反省の言葉ばかりが目立つ日のコメント

反省点は書けていても、その課題に対する改善点や目標が抜けていることがよくあります。

その日の行動を褒めながらも、反省からその先どうすべきかを書くポイントを記載しましょう。また、書き方で分からないことがないか、声かけをすることも大切です。

【NG】

反省の言葉が多いですが、そこから学ぶことを大切にしましょう。

【OK】

外遊びの時間、見守りを頑張っていましたね。安全面に配慮した声かけを忘れなかったおかげで、子どもたちも安心して遊べたと思います。

日誌を拝見すると、自身の行動を振り返ったポイントをしっかりまとめていますね。それらの反省から「子どもたちのサポートをどうしていくべきか」を考えた内容を記入してみてください。

反省してぶつかった課題を乗り越えるための目標を作ることがポイントです。もし書き方で疑問点があれば、気軽に聞いてください。

3:抽象的な内容を指摘する日のコメント

子どもたちの様子への抽象的な内容が目立つこともよくあります。

その場合は具体的な書き方を記しながら、「子どもの個性や性格を振り返るときに役立つ」という目的をしっかり説明して指導しましょう。

【NG】

「給食を頑張って食べていた」「元気そうに過ごしていた」など抽象的な内容が目立ちます。もっと詳しく書いてください。

【OK】

給食の時間、食事が進まない○○ちゃんに「にんじんさんは何色?」「かぼちゃはどんな味かな?甘いかな?」など興味を持てるような声かけをしていたことが印象的でした。

○○ちゃんも楽しそうに野菜を食べ始めましたね。

子どもの個性や性格を振り返るときに役立つため、実習日誌ではこのような印象に残った出来事を思い出しながら具体的に書いていくとよいでしょう。

そのときの自分の気持ちや考えもはっきり記載してください。

4:誤字脱字が多い日のコメント

誤字・脱字が多く、指摘してもなかなか直らない場合もあるでしょう。そんなときはコメント欄に具体的なアドバイスを書いて、改善をフォローします。

【NG】

誤字・脱字が目立ちます。しっかり確認してから提出しましょう。

【OK】

誤字・脱字が気になります。慣れない実習期間で細かいところに気が回らず、ケアレスミスが増えてしまうことも多いでしょう。

日誌を書いた後に次のようなことを意識すると、誤字・脱字を減らせるかもしれません。 ・日誌を声に出して読み上げてみる
・少し時間をおいて見直しをする

保育士として働き始めると、保護者の方と連絡帳のやり取りやおたよりなどで文章を書く機会が増えます。

この実習中に誤字・脱字をなくすことを意識して、文章作成のトレーニングができるように一緒に頑張りましょう!

保育実習日誌の指導ポイントは”伸びやかさを意識”

保育実習日誌の指導ポイントは、実習生を尊重し伸び伸びと成長できるように支えることです。

子どもたちへの関わりが自然にできる実習生もいれば、そうでない人もいます。それぞれの実習生の個性を出すために、よいところを見つけて肯定し、褒めることを意識してみましょう。

それを踏まえて、どのようなところに気を付けながら実習をしていくべきかを伝えてください。

そして、自分の考えを押しつけないことも大切です。保育士としての資質や保育観はさまざまな経験を通して育まれます。

「○○すべきだ」「○○しなくてはいけない」などという決めつけた表現は、実習生が考えて行動する主体性を奪ってしまうかもしれません。

また、指導の意図を文章で伝えられないときは、実習生に直接話して分かりやすく説明しましょう。

文章だけのやり取りはお互いの認識に差が生まれることもあります。コメント欄の内容に対して実習生がどのように思ったのか気になるときは、積極的に声をかけてコミュニケーションをとりましょう。
保育士の楽しさを伝えるのも指導担当の役割。前向きな声かけに迷ったときは、次の保育士の仕事のやりがいランキングを参考にしてくださいね。

まとめ|保育実習日誌のコメントで実習生をフォロー

今回は、保育実習日誌のコメントの書き方について解説しました。

初めてのことが多く戸惑う実習生をサポートするためにも、保育実習日誌は重要な意味を持ちます。とはいえ、指導する経験が少ない人やチェックが苦手な人にとって、何をしたらいいのか分からない人も多いでしょう。

ぜひご紹介したポイントや例文を参考にして、添削に活かしてくださいね。
   

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