保育園の英語教育の現状とは

ベネッセ教育総合研究所が2018年に行った「第3回 幼児教育・保育についての基本調査」によると、私立保育園の約4割が英語教育を行っているという結果が出ています。(※参考

2012年の調査では、英語教育を行っている私立保育園は約3割だったため、年々増加傾向にあることが分かります。

一方で、英語教育は全く行わないというスタンスの保育園があるのも現状です。

また、英語教育を行う保育園は、外部講師が行う場合と、英語力のある園の保育士が教育を行う場合に分かれます。

英語が得意な保育士が活躍できる理由

英語教育に力を入れている保育園が増加しているため、保育士にも英語力があると重宝されます。
ここでは、英語が得意な保育士が活躍できる理由について、2つに分けて説明します。

小学校で英語教育が必修化、正式教科に

国際社会で活躍できる人材育成のため、2020年より小学校3・4年生は英語教育が必修化、5・6年生は「外国語」が正式教科になりました。
3・4年生は、外国語に慣れることから始めるため「聞く・話す(やりとり・発表)」が中心で、5・6年生になると段階的に「読む・書く」も加わります。(※参考

小学校での英語教育を見据え、「ネイティブによる英語教育」に力を入れる保育園もあり、英語力のある保育士の価値が上がっています。

外国人のお子さま・保護者様の増加

近年、日本で働く外国人が増加しており、お子さまや保護者様に占める外国人の割合も増えています。中には日本語を話すことができず、英語での対応が必要な方々もいらっしゃいます。(※参考

英語を話せる保育士であれば、外国人のお子さまへの保育、保護者様との意思疎通がスムーズになります。
円滑に対応するためにも、英語ができる保育士を採用したい保育園が増えています。

英語ができる保育士として働くメリット

保育士の英語力は必須ではありませんが、あると望ましいことは事実です。
ここでは、英語ができる保育士として働くメリットを3つに分けて説明します。

外国人のお子さま・保護者様とのコミュニケーションに役立つ

前述したように、外国人のお子さま・保護者様がいらっしゃる園では、保育士の英語力は必要なスキルとなります。

英語力のある保育士がいれば、日本語を話せないお子さまや保護者様へのコミュニケーションをスムーズに行えるメリットがあります。

外国人のお子さまや保護者様との文化の違いに戸惑う保育士は少なくないので、英語が話せる保育士は重宝される存在になるでしょう。

就職・転職先の選択肢が広がる

英語ができる保育士は、就職・転職先の幅が広がりやすくなるメリットがあります。

英語力を武器にすることで、多くの選択肢の中から希望の就職・転職先を見つけ出せます。
例えば、「福利厚生や待遇など重要視したい」「なるべく残業が少なくワークライフバランスを重視したい」など自分の希望に合った職場選びが可能になります。

また、多少のブランクがあっても、英語力のおかげで保育士として復帰しやすいメリットもあります。

英語力の維持・スキルアップができる

英語を必要とする保育園や職場に就職した場合、外国人のお子さまや保護者様との英語のコミュニケーションを通して、英語力の維持やスキルアップができます。
言葉は日常生活で使わないでいると徐々にスキルが落ちてしまうものなので、自分自身にとってもメリットがあります。

また、日本人のお子さまたちにも英語の魅力を伝えられ、お子さま同士の交流のサポートもできるでしょう。

英語力のある保育士が活躍できる仕事・職場

一般的な保育園では英語が話せなくても問題なく働けますが、英語力があることで保育士が活躍できる仕事や職場もあります。
ここでは、英語力のある保育士が活躍できる仕事や職場を紹介します。

インターナショナルスクール

インターナショナルスクールは、英語を学ぶのではなく英語を使って科目が学べる保育施設です。

近年では日本人のお子さまが入学できるインターナショナルスクールも出てきていますが、基本的には日本に在住する外国人のお子さまを主な対象にしています。

外国人のお子さまや保護者様だけでなく、職員同士でも英語で話すことが多いため、高度な英語力が求められる仕事です。

プリスクール

プリスクールは、英語を習得するための環境や教育を提供する保育施設で、主に日本人の未就学児を対象にしています。

施設によって水準は異なりますが、英語で保育を行う必要があるため、日常生活が問題なく送れる程度の英語力が求められる仕事です。

また、外国人の講師には英語、保護者様への対応は日本語と、臨機応変なコミュニケーションが求められます。

英語教育を行う保育園

英語力があれば、日常保育で英語の授業をする英語教育を行う保育園で働くことも可能です。

最近では英語の歌やダンスなどを取り入れ、英語を使った遊びをお子さまに教える保育園も増えています。

お子さまに簡単な英語を教える必要があるため、一定レベル以上の英語力が求められる仕事です。

幼児英語教室の講師

お子さまに英語を教えたいのであれば、保育園以外にも幼児英語教室の講師で働くのも選択肢の一つです。

幼児英語教室の講師は特定の資格は必要ないですが、講師としてお子さまに英語を教えるため、一定の英語力や指導力が求められる仕事です。

保育士が英語力を高める勉強方法

ここでは、保育士が英語力を高めるための勉強方法について、3つに分けて紹介します。
ぜひ自分に合った勉強方法を見つけ、試してみてください。

通信教育講座で学ぶ

通信教育講座で英語を学ぶ場合、テキストを使った勉強だけでなく、オンラインで講師とマンツーマンの英会話ができます。

仕事終わりや休日など空いた時間に自分のペースで勉強をすることが可能なので、仕事で忙しい保育士に合っているでしょう。

英会話教室に通う

英会話教室に通う場合は、少人数、あるいはマンツーマンで英会話を勉強できます。
通う教室にもよりますが、週1回程度あるいは月2~3回程度のペースで通うことがほとんどです。

外国人の講師が多い傾向があるため、ネイティブの英語に触れられるので、リスニング力やスピーキング力を養うことが可能です。

参考書を使って独学する

目的や要望に合わせたテキストを選びたい場合は、参考書を使って独学する勉強方法もあります。
独学の場合は、自分の行いやすい勉強方法で進められるメリットがあります。

CD付きの教材を購入すればリスニングスキルを身につけられますが、参考書のみではスピーキングの練習は難しいです。オンライン英会話などのサービスと併用して学習することがおすすめです。

保育士の就職・転職に役立つ英語資格

英語資格を取得しておくと、就職・転職する際に英語力をアピールすることに繋がります。
ここでは、保育士の就職・転職に役立つ英語資格を2つ紹介します。

幼児教育・保育英語検定

幼児教育・保育英語検定は、一般社団法人幼児教育・保育英語検定協会が行う民間の認定試験です。

グローバル化に対応できる幼稚園教諭・保育士の養成の一環として、乳幼児教育に適した英語力を養成することを目的とした検定です。

試験では保育の現場で使われる英単語がメインとなるため、幼児言葉や遊具、お子さまがかかる病名などの英単語も頭に入れておく必要があります。

J shine資格(小学校英語教師指導者資格)

J shine資格(小学校英語教師指導者資格)は、小学生以下に英語を指導する能力があると認められた人が取得できる民間資格です。

国家資格ではなく民間資格のため、スクールに通えば比較的簡単に取得することが可能です。

小学生以下に指導することが認められる資格で、保育園のお子さまにも教えることが可能なので、保育士で英語力を極めたい人にもおすすめです。

英語ができる保育士として活躍できる仕事先を見つけよう

現在では、インターナショナルスクールやプリスクールはもちろん、英語教育を行う保育園などの需要は徐々に高まっています。

それに伴って英語力のある保育士が重宝され、活躍できる仕事先の選択の幅も広がっています。

既に英語力のある方は、英語を活かして活躍できる仕事先を見つけ直してみるのも一つの手です。

また、これから英語を極めようと思っている方も、ぜひ本記事の勉強方法を参考にトライしてみてください。
   

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