保育士試験の実技試験(言語表現)の概要

保育士試験の実技試験では、言語表現・造形表現・音楽表現の3科目のうち2つを選択して受験します。

言語表現の試験では、3歳児の子どもたちに3分間のお話をします。
合格基準は、50点満点のうち6割にあたる「30点」です。
試験では4つのお話から1つを選択し、絵本や道具を使わずに声とジェスチャーのみの素話(すばなし)で表現します。
評価のポイントは、保育士として必要な幼児に対する話し方や声の抑揚などの表現技術です。

実技試験は筆記試験の約1ヶ月後に実施されるので、できるだけ早めに練習を始めることをおすすめします。
次の記事では、保育士試験全体の概要と筆記試験に合格するコツを紹介しているので、あわせてご覧くださいね!

保育士試験の実技試験(言語表現)の本番の流れ

言語表現の試験では、目の前に15人ほどの子どもがいることを想定してお話をします。
ここでは、試験本番の具体的な流れをみていきましょう。

【入室の流れ】
①試験室の扉をノックする
②試験官の「どうぞ」という声が聞こえたら、「失礼します」とあいさつをして入室する
(室内には、15個ほどのイスが並べられている)
③「(名前)です。よろしくお願いいたします」と伝え、礼をする

【実技試験の流れ】
④試験官の指示に従い、受験番号シールを渡す
⑤試験官にイスに座るように指示される
⑥準備ができたら試験官に伝える
⑦試験官のタイマーが「ピッ」と鳴ったら試験開始
⑧15名の子どもにお話することを想定しながらお話を始める
⑨3分より早く終わったら、イスに座ったまま無言で待機する

【退室の流れ】
⑩試験官に「ありがとうございました」とあいさつをして、礼をする
⑪試験官の指示に従い、退室する

保育士試験の実技試験(言語表現)のお話はどれがいい?

言語試験では、事前に提示された4つの物語の中から好きなお話を選択します。
ここでは、お話を選ぶ際にチェックしたい具体的なポイントを紹介します。

4つのお話を読んでみる

言語の試験のお題となるお話は、次の4つです。
題名は聞いたことがあっても、「どんな内容のストーリーだったかな?」とうろ覚えの人も多いかもしれませんね。
まずは4つの物語をすべて読み、お話の内容を把握しましょう。

言語試験の課題となる4つのお話

  • おおきなかぶ
  • ももたろう
  • 3びきのこぶた
  • 3びきやぎのがらがらどん


子どもに伝えやすいお話を選ぶ

言語表現の実技試験では、3歳の子どもが理解できるお話をすることが求められます。
お話を選ぶ時は、次のポイントを注意しながら、子どもにとってわかりやすいストーリーや表現ができそうな物語を選びましょう。

子どもに伝えやすいお話の特徴

  • 登場人物の数が少ない
  • 登場人物の特徴や動きを表現しやすい
  • 子どもにわかりにくいアイテムが登場しない
  • ストーリー展開がわかりやすい


自分が覚えやすいお話を選ぶ

言語試験の本番では、絵本や道具を使わず、何も見ない状態でお話をします。
そのため、お話を選ぶ時は、自分が覚えやすい物語を選ぶことが大切です。
自分にとって覚えやすい、かつ声と身振り手振りだけでわかりやすく表現しやすいお話を選びましょう。

保育士試験の実技試験(言語表現)の台本(シナリオ)作成のコツ

保育士試験の言語試験では、3分間で子どもたちにわかりやすく伝わる台本作りが重要です。
ここでは、シナリオを作る際のポイントをみていきましょう。

3分以内にまとめる

保育士試験の言語表現の持ち時間は3分間です。
3分を過ぎてしまうと減点対象になる場合があります。
台本を作る時は、3分より10~30秒ほど余裕をみて作成すると本番でも時間内におさまるでしょう。

自分にとって話しやすい言葉を選ぶ

実技試験の本番では、物語を覚えたうえでお話をします。
そのため、自分が覚えやすいセリフや言葉を工夫することが大切です。
台本では、子どもにわかりやすい言葉かつ自分が口に出しやすい言葉を選びましょう。

ストーリーを変えない

保育士試験の言語試験では、物語をオリジナルのストーリーに変更しない方が無難です。
厚生労働省が提示する保育士試験の規則では「お話の編集、展開に関する決まりはない」とされていますが、元のストーリーから大きく離れると子どもたちに伝わりにくい内容になる恐れがあります。

YouTubeのお手本動画を参考にする

「実際、どのような雰囲気で話したらよいのだろう?」「話すスピードはどのくらいだろう?」と悩む時は、YouTubeにアップされている保育士試験向けのお手本の動画を参考にする方法もあります。
試験の具体的なイメージを理解しながら、自分なりに工夫を加えられるとよいですね。

保育士試験の実技試験(言語表現)で話す時のポイント

保育士試験本番では、台本を覚えて暗唱するのでなく、表現力も採点基準となります。
ここでは、実技試験で役立つ表現のポイントを紹介します。

登場人物ごとに変化をつける

声と身振り手振りでお話をする素話では、登場人物ごとに声の高低や話す速度などの表現方法に変化をつけると、キャラクターの違いを表しやすくなります。
物語を選ぶ際は、できるだけ登場人物が少ないお話を選んだ方が、自分自身もわかりやすいかもしれませんね。

声に抑揚をつける

物語を話す時は、声のイントネーションを意識してみましょう。
声色にも表情をつけると話が盛り上がり、「子どもたちがお話に集中できる」と高評価につながります。
棒読みになりがちな人は、自分の声を録音して確認すると練習しやすいでしょう。

明るい表情を意識する

言語試験では、顔の表情にも気を配りましょう。
笑顔や困った顔など、喜怒哀楽の表情を意識すると自然に気持ちが入りやすくなります。
子どもたちに語りかけるような気持ちで、やさしくお話できるとよいですね。

前を向いて背筋を伸ばす

実技試験では、前方を向いて背筋を伸ばした姿勢でお話をしましょう。
よい姿勢ができていると、自然に15人程度の子どもたちに声が届くような通りのよい声を発することができます。
何度も練習を繰り返し、自信を持って試験に臨みましょう。

言語表現の試験対策におすすめの練習方法

「言語表現の試験は、どんなふうに練習したらよいのだろう?」「本番は緊張しそうで怖いな」と不安になっている人も多いかもしれません。
ここでは、お話が上手になる具体的な練習方法を紹介します。

シーンごとに覚える

最初は、自分で作った台本を暗記することから始まります。
3分間のお話とはいえ、一度にすべてを覚えようとするのは難しいものです。
物語をいくつかのシーンに区切りながら、一場面ずつ練習すると覚えやすいでしょう。

時間を計りながら練習する

物語全体を暗唱できるようになったら、3分以内におさまるようにストップウォッチなどで時間を計りながら練習します。
最初は話すスピードのみを意識して、3分以内に読み終わることを目指してみましょう。
話すテンポをつかんだら、少しずつ表情や抑揚をつけていけるとよいですね。

鏡の前で練習する

自分の姿勢や表情をチェックするために、鏡の前で練習する方法もおすすめです。
自分自身のクセや相手にどのように見えているかは、案外わからないものです。
鏡の前で練習するほか、スマホで自撮り動画を撮影してチェックするのも効果的です。

本番に近い環境で練習する

大事な試験や人前で緊張しやすい人は、本番にできるだけ近い状態で練習を繰り返しましょう。
入室から試験本番、退室までを一連の流れで通してもよいですね。
何度も練習すると、体が状況に慣れ、リラックスした状態で本番に臨めます。

家族や友人に見てもらう

試験前には、家族や友人にあなたがお話する姿を見てもらう方法もおすすめです。
目の前に人がいると本番に近い状況になるので、緊張感が高まります。
大学や専門学校の保育士養成科に通っている人であれば、先生にアドバイスをもらう方法もありますね。

読み聞かせボランティアに参加する

試験本番までに期間があるなら、地域のボランティアに参加するのもよい練習になります。
実際に子どもたちの前でお話を披露すると、リアルな反応を感じ取ることができます。
場慣れすると本番の緊張が和らぐのはもちろん、将来保育士になった時にも役立つはずです。

本番でタイムオーバーした時の対応【不合格にはならない?】

「本番で3分を過ぎたらどうなるの?」「時間内に終わらないと落ちるの?」と不安な人も多いでしょう。
最後に、言語の実技試験でタイムオーバーになってしまった時の対処法をチェックしましょう。

タイムオーバーしても即落ちるわけではない

実技試験本番では、持ち時間の3分以内にお話を終らせるのがベストです。
3分を超えると減点対象にはなりえますが、即不合格になるとは限りません。
ほかに減点ポイントが少なければ、合格ラインの30点をこえられる可能性はあるでしょう。
タイムオーバーした時は、ベルが鳴った時点でお話を終了しましょう。

台本が飛んだらその場で作ってOK

保育士試験本番では、緊張のあまり練習したシナリオが頭から抜け落ちてしまうこともあるかもしれません。
そのような時は、ストーリーに沿ってその場でセリフを作ってしまいましょう。
物語の流れが頭に入っていれば、そこから大きくはずれることはないはずです。
試験官にこちらの台本を渡すわけではないので、話の内容が相手に伝われば問題ありません。

3分より早く終わったらその場で待機

一方で、持ち時間の3分より早く終わった場合は、イスに座ったまま無言で待機します。
お話が終わった後も子どもの前のようににこやかな表情でいられると、さらにポイントが高いでしょう。
終了の合図があったら、試験官に「ありがとうございました」と伝えて退室します。

保育士試験の実技試験(言語)は自分に合った台本作りと練習が大切!

保育士試験の実技試験(言語)では、目の前に子どもたちがいることを想定しながら、制限時間の3分以内にお話をします。

言語の実技試験に合格するには、自分が話しやすい台本作りと、練習で子どもを惹きつける表現力を身に付けることが大切です。

鏡や動画撮影、周囲の人に見てもらうなどの練習を重ねながら本番の流れに慣れ、保育士試験合格を目指しましょう!
   

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