保育士になるには?

保育士は国家資格です。
保育士になるには、養成学校に通い単位を取得し卒業するか、試験を受けて合格すると保育士資格を取得できます。

まずは、保育士試験の受験資格や開催時期について解説していきます。

※詳しくはこちらの記事もチェック!

保育士試験の受験資格

保育士試験を受けるには、高等学校を卒業した者という規定があります。
また、中等学校卒業でも児童福祉施設で2年以上2880時間以上の勤務経験があれば受験資格があります。
詳しくは一般社団法人 全国保育士養成協議会のHPを参考にしてください。

保育士資格の受験時期

保育士試験は、年2回(4月・10月)に実施されています。筆記試験2日間、実技試験1日です。
※保育需要の高い一部の自治体では「地域限定保育士制度」が導入されており、上記2回以外で試験が行われることがあります。
地域限定保育士として登録後3年間は働ける場所が限定されるため、事前に注意が必要です。


保育士試験は3年間の合格科目の有効期限があります。
1回で合格できなかった場合も、次の試験開催時に不合格科目だけ受験することが可能です。

保育士資格の筆記試験内容

保育士資格は、筆記試験の8教科9科目に合格すると、実技試験に進むことができます。
まずは筆記試験の内容をみていきましょう。

保育士筆記試験は8教科9科目

保育士資格の筆記試験は、8教科9科目となっています。

保育士 筆記試験

  • 保育原理
  • 教育原理及び社会的養護
  • 子ども家庭福祉
  • 社会福祉
  • 保育の心理学
  • 子どもの保健
  • 子どもの食と栄養
  • 保育実習理論


保育園は社会福祉施設にあたるため、子どもの育ちや社会福祉に関することなど試験内容は広範囲に渡ります。

各教科は内容が重なり合っている部分があります。1教科ずつ勉強するよりも、総合的に学ぶとよいでしょう。
普段聞き慣れない法律用語なども出てくるため、しっかり勉強する必要があります。

また、幼稚園教諭の免許所有者は、筆記試験のうち「保育の心理学」「教育原理」と、実技試験が免除となります。(事前に免除申請が必要)

保育士筆記試験の回答方法と所要時間

筆記試験の回答方法は、マークシート方式となっています。
1科目あたり15~20問が出題されます。問題集でしっかり学んでから試験に臨みましょう。

また、試験時間は1科目60分です。
上記のうち、教育原理と社会的養護は、それぞれ30分に設定されています。

保育士筆記試験の合格基準

保育士試験は、全ての科目で6割以上正解する必要があります。
つまり、100点満点の科目では60点以上の得点をとりましょう。

教育原理と社会養護はふたつで1科目となっているため、それぞれ50点満点です。
合格するには、教育原理・社会養護それぞれで30点以上の得点が必要です。
どちらかだけ満点で、もう片方が10点の合計60点では、教育原理・社会養護の科目は合格にならないので注意しましょう。

保育士資格|筆記試験の勉強のコツ

保育士試験は、合格率が平均20~25%と、取得が難しい資格と言われています。

しかしながら、3年かけて合格科目を積み上げていくことができます。
一発合格を目指しつつも、コツコツ勉強して2年かけて合格を目指すルートも視野に入れておくとよいでしょう。

ここからは、実際に保育士試験を受験した方の体験談をもとに、保育士試験合格に向けた勉強のコツをお伝えします。

類似科目を総合的に学ぶ

保育士試験の科目はひとつずつ独立しているのではなく、それぞれの領域が重なり合っています。
出題範囲が近い分野をまとめて総合的に学ぶことで、全体像を理解し知識が定着しやすくなります。

勉強するときは、下記のような分類ごとに勉強していくことをおすすめします。

たとえば、教育原理を勉強していてつまづいたとき、保育原理を勉強することで理解できる場合がありますよ。

保育の基礎

保育原理/教育原理

子ども福祉の歴史や法令

社会的養護/子ども社会福祉/子ども家庭福祉

子どもの発達や成長

保育の心理学/子どもの保健/子どもの食と栄養

保育所や子ども福祉施設

保育原理/社会的養護/子ども家庭福祉/保育実習理論


問題集を繰り返し解く

テキストを読むなどして知識を頭に入れたら、問題を繰り返し解いていきましょう。
試験はマークシート方式ですが、ひっかけ問題が出る可能性もあります。
似たような用語も出てくるため、注意が必要です。

同じ問題でつまづく場合、本当の意味で理解できていない可能性があります。
再度テキストを読み直し、苦手を克服していきましょう。
近年は、Web版の過去問や過去問アプリなどもあり、移動時間や隙間時間などでも問題に取り組みやすくなっています。
Webやアプリの過去問に取り組んでから、間違えた箇所をテキストで確認したり再度問題集に取り組んだりして反復学習することで徐々に苦手な箇所への理解も深まるでしょう。

YouTubeなどの動画コンテンツも参考にする

保育士試験の科目は8教科9科目もあるため、全教科を学ぶための参考書はとても分厚くすべてを読み込むには膨大な時間がかかります。
参考書やテキストでコツコツ学び進めるのが苦手な場合には、YouTubeなどの動画コンテンツを参考にするのもおすすめです。
最近では、各科目のポイントを抑えた解説動画などが数多く配信されています。
まずはそうした動画を見て大まかなポイントを理解したうえで、分からなかった箇所やさらに詳しい内容を参考書で調べながら勉強することで、短期間であっても十分に理解を深めることができます。

参考書やテキストによる勉強が得意な場合でも、分からなかったポイントを動画解説で確認するなど、上手に使い分けると良いでしょう。

目標とスケジュールを明確にする

保育士試験は年2回しかチャンスがありません。
受験時期を決めて、それまでにしっかりと合格を目指せるよう学習スケジュールを立てましょう。

3年間の免除期間があるとはいえ、「今回がダメなら次回でいいや」という気持ちで臨んでも、良い結果は得られにくいものです。
1回で合格するんだ!という気持ちで期限を決めて取り組むことをおすすめします。

また、日々の勉強に対しても、「空いた時間に勉強しよう」では間に合わなくなるリスクがあります。
1日のスケジュールの中で勉強する時間を確保できるように調整しましょう。

保育士資格には実技試験も必要

保育士試験では、筆記試験に合格後、実技試験があります。
実技試験に合格すると、晴れて保育士資格を取得することができます。
※地域限定保育士は実技試験でなはく、保育実技講習会などを行う場合がございます。

筆記試験の勉強中は、実技試験のことまで考えられないかもしれませんが、合格を見越して実技試験の準備もしておきましょう。

保育士資格の実技試験は3科目

保育士の実技試験は、造形・音楽・言語の3科目の中から2つを選択して受験します。
自分の得意な分野を選択し、強みをアピールしましょう。

各科目の内容や対策についてご紹介します。

保育士資格実技試験|造形

◆試験内容
造形の科目は、絵画表現の試験です。試験当日に問題が出されます。
色使いや人物の描写などを総合的に見て点数がつけられます。
道具の持ち込みが可能で、鉛筆かシャープペンシル、色鉛筆、消しゴムが使用できます。

◆対策
造形の試験は、3科目の中で唯一当日まで問題がわかりません。
普段から絵を描く練習をしておく必要があります。
例えば、絵本を読む保育士とそれを見ている子ども、子どもが手を洗う場面など、保育園の情景を思い浮かべて練習しましょう。
また、人物以外に風景の練習も必要です。保育室や手洗い場など、出題に応じて描けるようにしましょう。

保育士資格実技試験|音楽

◆試験内容
あらかじめ決められている課題曲の中から1曲を選び、楽器で演奏しながら歌う試験です。
保育士にふさわしい音楽の表現力があるかを試されます。
試験ではピアノ、ギター、アコーディオンが選べ、自分の楽器の持ち込みも可能です。
普段使い慣れている楽器があれば持参しましょう。

◆対策
人前で演奏しながら歌うのは、慣れていないとハードルが高いものです。
保育士になれば日常的に子どもの前で演奏することになりますが、特に試験ともなれば緊張するでしょう。
楽譜を見なくても弾けるように、繰り返し練習が必要です。
家族や友人に聞いてもらう練習もしておくと良いですよ。

保育士実技試験|言語

◆試験内容
言語の試験は、指定された課題から3分間の素話をします。
目の前に子どもがいる想定なので、子どもに伝わるような表情や声のスピードも重視されますよ。

◆対策
事前に課題が出されるので、構成を考えておきましょう。
構成を考えてから暗記するほど繰り返し、身体に覚え込ませます。
練習のときはスマホのビデオ機能で録画し、客観的に自分の話し方を見ると上達が早いですよ。
ポイントは子どもへの伝わりやすさなので、子どもに話しかけているように、テンポ、顔の表情、体のかがめ方に配慮しましょう。

保育士の実技試験はどの科目がおすすめ?

実技試験は3科目あり、どれを選べばいいのか迷ってしまうという方もいるでしょう。

2つの選択科目のうち、ひとつは言語を選択する方が多いようです。
あとひとつの科目を選ぶ際、昔何かの楽器を習っていたり、音符が読める場合は音楽がおすすめです。
課題曲は、保育園で演奏されること多い子ども向けの曲なので、音符が読める方なら練習することで習得可能です。

何も楽器を習っておらず、音符が読めない方には造形がおすすめです。
絵は苦手という方も実技試験までに繰り返し練習して描けるようにしておきましょう。

保育士試験合格のためには積み重ねが必要

今回の記事では、保育士資格を取得するための筆記試験について解説しました。

筆記試験は8科目9教科があり、出題範囲が広いため計画的に学習を進めていく必要があります。
しっかりとスケジュールを立て、合格に向けて勉強していきましょう。
各教科の重なり合う範囲を把握し、総合的に学ぶことで理解が深まりますよ。

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