保育園で子どもたちと大掃除をするねらい

保育園の大掃除には、身の回りをきれいにするだけでなく、子どもたちの成長につながるねらいも込められています。
はじめに、大掃除が子どもたちにもたらすポジティブな影響をみていきましょう。

掃除の習慣を身につけてもらう

保育園での大掃除は、子どもたちの衛生意識の向上を促すきっかけになります。
実際に掃除をすることで、身の回りを清潔に保つことの大切さや気持ちよく過ごせることを身をもって経験してもらえるでしょう。
また、自分が使った場所やおもちゃなどを片付けると、物を大切にする気持ちや責任感が身につくことが期待できます。

達成感を得られる

大掃除で身の回りをきれいにすると達成感や満足感が生まれ、子どもたちの自信を育むことができます。
大人でも掃除や整理整頓を面倒に感じてしまうこともあるかもしれませんが、幼少期から「掃除は楽しいもの、気持ちよいもの」とポジティブなイメージを体験できると、生きるうえで必要な自己管理のスキルを学べます。

お友達や先生とのチームワークを体感する

大掃除では、クラスのお友達や保育士さんと力を合わせて取り組む場面もあるでしょう。
一人でやろうとするとたくさんの時間やエネルギーが必要な大掃除も、みんなで手分けして取り組めば短い時間で無理なく終わらせられます。
協力することのメリットをわかりやすく実感できる大掃除は、チームワークを養うきっかけになるはずです。

保育園の大掃除をスムーズに進めるポイントと注意点

保育園の大掃除をスムーズに進めるには、安全対策と手順の共有、楽しい雰囲気づくりが重要です。
続いて、保育園で子どもたちと大掃除をする際のポイントと気を付けたいことを解説します。

安全への配慮を最優先に行う

保育園で子どもたちと大掃除に取り組む際は、安全第一を心がけましょう。
掃除中にケガをしないように、子どもたちが使用する掃除道具や場所で起こりうるアクシデントを予測します。
例えば、床が濡れている場合は滑らないように注意喚起のテープを貼ったり声をかけたりするなどの対策が考えられます。

子どもたちのアレルギーを把握する

大掃除では、子どもたちが安全かつ快適に取り組めるようにアレルギーへの配慮も大切です。
保護者様と子どもたちのアレルギーを事前に共有したり、特にほこりや汚れが多い場所は職員が対応したりなどして、保護者様や子どもたちが安心できる対策を実施しましょう。

保育園の大掃除で考えられるアレルギーと対策案

  • ほこりやダニ(換気を徹底、マスク着用、ほこりを舞い上げない雑巾やモップを使用など)
  • アレルゲンの含まれた洗剤(無香料・低刺激の洗剤を使用、メガネやゴム手袋を使用など)
  • 特定のアレルギーがある(保護者様と職員間で事前に共有、アレルギーの子どもに配慮したエリア確保など)


年齢や発達に合わせて役割分担を行う

保育園の大掃除では、子どもの年齢や発達段階に合わせて無理のない役割分担を行いましょう。
簡単な作業(片付ける、ほうきで掃く、雑巾で拭くなど)を中心にし、体力的に過度な負担をかけないようにします。
子どもたちがチャレンジできた時は「上手にできたね!」「やったね!」と前向きな声かけをすると、さらに自主的に取り組めるようになります。

子どもの年齢ごとの掃除の例(目安)

  • 1歳児~2歳児(おもちゃを拾う、箱に戻すなどの簡単な片付けにチャレンジする)
  • 3歳児(道具を片付ける、テーブルを拭くなどをお手本を見ながらトライする)
  • 4歳児(床の掃き掃除や棚の整理整頓など、少し複雑な掃除をやってみる)
  • 5歳児(雑巾を絞って床や窓を拭く、グループごとに掃除するなど自主性を育む)


掃除の手順をわかりやすく説明する

保育園に通う子どもたちの中には、掃除が初めての子や慣れていない子もいるでしょう。
掃除の手順を伝える時は、保育士さんがお手本を示しながらわかりやすく説明し、子どもたちの実践をサポートすることが大切です。
また、掃除の目的や目の前の作業の理由も一緒に伝えると、さらにモチベーションが上がります。

楽しい雰囲気をつくる

子どもたちと大掃除をする際は、明るくポジティブな雰囲気づくりを意識するとスムーズに進みます。
初めてできたことや自分からやってくれたことに注目して声をかけたり、音楽やゲームを活用しながら遊び感覚で展開したりすると子どもたちにとって楽しい経験になるでしょう。
「もっとやりたい!」「みんなでやるのが楽しかった!」という前向きな気持ちが習慣化につながります。

保育園の大掃除を楽しむアイデア【遊びを取り入れる】

保育園の大掃除では、ごっこ遊びやゲームの要素を取り入れると子どもたちも楽しみながら取り組めます。
ここでは、保育園の子どもたちがワクワクしながら大掃除に取り組める具体的なアイデアとコツを紹介します!

子どもが好きな音楽を流す

忙しい年末にも手軽に取り入れやすい方法では、子どもたちに人気のBGMを流すとよいでしょう。
アップテンポの音楽を選ぶと心が弾み、掃除や片付けのペースもはかどります。
さらに、「曲が止まったらいったん手を止める」などの遊び感覚のルールを取り入れると、リズムゲームとしても楽しめます。

歌や手遊びで盛り上げる

大掃除を始める前に楽しい雰囲気をつくりたいなら、掃除や片付けにちなんだ歌や手遊び歌で導入する方法もあります。
音楽のスピードを少しずつ速くしていくと、子どもたちのテンションも高まるはず。
盛り上がった状態で「さあ、みんなでお片付けをしてみよう!」と大掃除を始めると、子どもたちも前向きな気持ちのまま取り組みやすいでしょう。

掃除や片付けにちなんだ歌の例

  • みんなー!おそうじするよー!
  • おそうじルンルン
  • おかたづけ


お掃除ごっこ遊びを楽しむ

掃除や片付けにゲーム要素を取り入れたい時は、子どもたちが大好きなごっこ遊びを活用するのもおすすめです。
例えば、「お掃除ヒーロー」に扮して汚れや散らかったものを退治する設定にしたり、「お掃除探検隊」に扮して教室の隅や棚の裏などの汚れを探し出し、一緒にきれいにしたりするのもユニークですね。
子どもたちの想像力や好奇心をくすぐりながらワクワクする気持ちを引き出せると、楽しく参加できるでしょう。

制限時間を決めて掃除をする

4歳児~5歳児の子どもたちのやる気を引き出すには、掃除や片付けを時間制限付きのチャレンジゲームとして「何分以内にどれだけの掃除ができるか」を競ってもらうのもひとつの方法です。
終わったらみんなで結果を見て「すごい!」と称賛し合いましょう。勝ち負けにこだわらず、達成感や気持ちよさを強調することが大切です。

チェックリストやスタンプカードに記録する

達成感を得るために、どれくらいできたかを記録するチェックリストやスタンプカードを取り入れるのもおすすめです。
自分の行動を見える化すると、「こんなにできたんだ!」「もう少し頑張ってみようかな」と自信やモチベーションの向上につながります。
さらに、同学年のクラスごとに掃除の進捗を競うと盛り上がるでしょう。

保育園の大掃除で子どものやる気アップさせる声かけ【具体例】

大掃除中は保育士さんから一人ひとりの子どもたちに積極的な声かけを行うと、モチベーションアップや集中力のキープにつながります。
続いて、子どもが喜ぶ褒め方ややる気を引き出すフレーズを具体例とともに紹介します!

具体的に褒める

子どもたちを褒める時は、細部まで具体的に伝えると「自分のことを見てくれて嬉しい」「自分がやったことで保育士さんやみんなが喜んでくれた」と充実感を得られます。
子どもの名前を呼んだり、「何をしてくれたことに対して感謝しているのか」や「どのくらいきれいになったか」を言葉で表現したりしてみましょう。

具体的に褒める声かけの例

  • 「〇〇ちゃん、△△をピカピカにしてくれてありがとう!とってもきれいになったね!」
  • 「〇〇くん、△△をていねいに拭いてくれてすごいね!先生、とても助かったよ!」


お友達とのチームワークを促す

保育園の大掃除では、お友達の存在を意識すると協力することの楽しさを共有できます。
また、「一人じゃないんだ」「みんながやるなら自分もやろう」と安心感が得られると、前向きに掃除に取り組む姿勢につながるでしょう。

チームワークを促す声かけの例

  • 「みんなで一緒にお掃除すると、早くきれいになるね!協力してくれてありがとう!」
  • 「〇〇くんと△△ちゃんが一緒にやると、もっと早く片付けられるかも!一緒にやってみよう!」


達成感をイメージさせる

大掃除がなかなか始められない時は、具体的なゴールを伝えると取り組みやすくなります。
頑張ったあとの喜びやきれいになった空間で遊ぶ楽しさをイメージさせられると、「やってみよう」「楽しみだな」と手が動き始めるきっかけになるでしょう。

達成感をイメージさせる声かけの例

  • 「お掃除が終わったら、きれいになったお部屋を見るのが楽しみだね!」
  • 「片付けたら、お部屋がきれいになるよ!ピカピカになったところをみんなに見せよう!」


自分は主人公・ヒーローだと感じさせる

子どもたちのやる気を引き出すには、「自分が貢献している」と感じられるようにヒーロー役になってもらう方法もおすすめです。
保育士さんに「ヒーロー」「名人」と言われると、嬉しさや責任感から前向きにアクションに移せるはず。
さらに、掃除の合間にもこまめに声をかけるとモチベーションが持続するでしょう。

ヒーローだと感じさせる声かけの例

  • 「お掃除ヒーローさん、助けてくれるかな?来てくれたらきっときれいになるよ!」
  • 「こんなにきれいになって、さすが〇〇ちゃん!お片付け名人だね!」


選択肢から選んでもらう

掃除や片付けに苦手意識がある子どもたちには、いくつかの選択肢から選んでもらう方法が効果的です。
「自分で決めた」という感覚を持ってもらうと抵抗が減り、モチベーションが高まります。

選択肢から選んでもらう声かけの例

  • 「〇〇ちゃんは、どっちのお掃除をしたいかな?おもちゃを片付けるか、ほうきを使って掃くか選んでね!」
  • 「お片付けをする時間なんだけど、先に絵本をしまおうか?それとも、床を拭くのを手伝ってくれるかな?」


競争心をくすぐる

4歳児~5歳児の子どもたちには、競争心を刺激する声かけを行うと「自分も先生に褒められたい」「お友達に負けたくない」とスピードアップが期待できます。
ただし、勝ちたいあまり無理やケガをしないように、ルールをしっかり共有して安全に配慮しましょう。

競争心をくすぐる声かけの例

  • 「誰が一番ピカピカにできるかな?みんなで頑張ろう!」
  • 「〇〇ちゃん、とっても早いね!もうこんなにきれいにしてくれたんだね!」


保育園の大掃除で保護者様にお願いしたいこと

保育園の大掃除では、保護者様からの情報提供やご協力も欠かせません。
保護者様と職員が連携をとりながら、子どもたちと安全かつスムーズに大掃除を進めましょう。

アレルギー情報の共有

保育園で子どもたちと大掃除を行う際は、保護者様にも事前に掃除の内容や起こりうるアレルギー反応などを発信し、配慮が必要な場面を共有する必要があります。
保育だよりなどのプリントや送迎時の連絡事項として確実に伝えることが大切です。
保育士さん同士、職員同士も連携をとり、子どもたちと保護者様が安心して大掃除に取り組める環境をつくりましょう。

動きやすい服装の用意

保護者様には、大掃除に適した動きやすい服装を用意していただくことになります。
「大掃除の日は、汚れていてもよい、かつ動きやすい服装を準備していただけると助かります」と呼びかけたり、具体的に指定する方法もあります。
大掃除前日の送迎時に保育士さんからもリマインドの声かけやメールを送ると、忙しい保護者様をサポートできるでしょう。

掃除道具の提供を呼びかける

大掃除の準備では、子どもたちに持ってきてもらう持ち物も共有しましょう。
保育園の中で、必要な掃除道具の数や雑巾の枚数を共有しておくとスムーズです。
さらに、保護者様に「もしご家庭に不要なお掃除道具や雑巾がありましたら、ぜひご提供ください。大掃除に活用させていただきます」と協力を呼びかけてもよいですね。

家庭での子どもたちへの声かけ

保育園の大掃除は、保護者様と子どもたちのコミュニケーションを促すきっかけになります。
家庭でも保護者様に褒められると子どもたちは自信を持ち、掃除や片付けを楽しみに感じられるでしょう。
「ご家庭でもぜひすごいね!上手だね!と声をかけてあげてください」「達成感を味わうと、積極的にお手伝いをしてくれるようになります」と具体的な褒め方やメリットを伝えると、保護者様も行動しやすくなります。

保育園の大掃除はみんなで楽しみながら取り組もう!

保育園の大掃除は、子どもたちと掃除の大切さや気持ちよさを体感し、自己管理の習慣を身につけるチャンスです。
保護者様と職員同士が連携をとりながら、安心して大掃除に取り組める環境を作っていきましょう。

さらに、遊びを取り入れた方法や一人ひとりへのこまめな声かけを行うと子どもたちのモチベーションがアップし、スムーズに進みます。
保育士さんも子どもたちのよいところや成長を見つけながら、一緒に掃除を楽しんでくださいね!

次の記事では、忙しい年末年始にぴったりのお正月遊びや冬に楽しめる遊びを紹介しているので、ぜひご覧ください!
   

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