保育園の個人面談のねらい

保育園の個人面談は、保育士と保護者が1対1でじっくりと話し合える貴重な機会です。
多くの場合、年に1~3回程度実施され、1家庭につき10~20分ほどの時間で、園での子どもの様子や成長について共有します。
個人面談には、主に以下のようなねらいがあります。

  • 子どもの成長や園での生活を共有する
  • 家庭での様子を確認し、保育に活かす
  • 保護者の不安や疑問を解消する
  • 保護者の子育て方針を理解する
  • 保護者からの要望を聞く
  • 保護者との信頼関係を築く

子どもに適した保育を行い、成長をサポートするためには各ご家庭の連携が欠かせません。
個人面談は、それぞれの家庭との大切なコミュニケーションの場と言えます。家庭ごとに子どもの様子も子育ての方針も違うからこそ、「その家庭に向けた面談」であることを意識することが大切です。そのためにも事前にしっかり準備をして臨みましょう。

個人面談に向けて準備すべきこと

個人面談は、限られた時間の中で行うため、話す内容や保護者に聞きたいことをまとめておくなど、事前準備が欠かせません。

園での様子を記録し整理する

園での子どもの姿を正確に伝えるためにも、子どもの様子や成長が感じられたことなどを記録しておきましょう。
例えば、活動への取り組み方やお友だちとの関わり方、食事や睡眠、排便などの生活面などを記録し、整理しておくと良いでしょう。行動変化から見える子どもの発達の様子は、保育士からしたら当たり前でも保護者にとっては嬉しい子どもの成長です。保育士からの日々の気づきを共有することは、保護者とって安心につながります。

保護者に聞きたい項目をまとめる

面談は、園での様子を伝えるだけでなく、家庭での子どもの様子や生活について聞くことのできる貴重な機会です。
食事や睡眠など生活習慣、好きなことや苦手なこと、登園前、降園後の様子など、聞きたい内容をまとめておきましょう。
聞きたい項目のチェックリストを作成しておくと、聞き漏らす心配がなく、聞いた内容を記録する際にも役立ちます。

資料を用意する

面談では、取り組んでいる制作物やおえかき帳なども用意しておくと良いでしょう。
実際の作品や普段のお絵描きなどを見ることで、園での生活や成長を実感しやすくなるものです。
あわせて、成長記録や写真などを資料としてまとめておくと、より印象に残りやすくなります。

個人面談の進め方

個人面談では、主に以下の3点を共有し合いましょう。

個人面談のポイント

  • 園での様子を伝える
  • 家庭での様子を伺う
  • 園からの連絡事項を伝え、保護者からの要望を確認する


1.園での様子を伝える

まずは、保育士から園での様子について伝えます。
子どもと離れている時間に子どもがどのように過ごしているのか、保護者は何よりも気になるものです。
仲の良いお友だちや好きな遊び、成長を感じられたエピソードなど、子どもの良い面を伝えることから始めましょう。

2.家庭での様子を伺う

一通り園での様子を伝えたら、「園ではこのように過ごしていますが、おうちでの様子はいかがですか?」など、家庭での様子を聞いてみましょう。
家庭での様子を聞くと同時に、保護者が不安に感じていることや気になっていることなども聞くのもおすすめです。
保護者からの相談を受けて、「園ではこのように対応していますよ」など、園での対処法やエピソードを伝えることで、保護者の安心感にもつながります。
また、面談の場だけでは解決できないことであれば、主任や園長に相談し、後日改めて話す時間を設けるようにしましょう。

3.園からの連絡事項を伝え、保護者からの要望を確認する

面談の最後には、連絡事項を伝えて、保護者からの要望や質問があれば確認します。
要望や質問にはその場で応えられないこともあるため、忘れずに書き留めることが大切です。
要望や質問に限らず、面談で話した内容はできるだけメモに残し、保育にも役立てましょう。また、保護者からの要望や質問事項は、担任だけで抱えるのではなく、園全体で共有しましょう。園全体で一貫した対応ができることで、面談をしているクラス担任だけでなく、園として保護者との信頼関係を築くことができます。

面談を行う際の注意ポイント

保育園の面談は、保育士も緊張するかもしれませんが、それ以上に保護者も緊張しています。
限られた時間を有意義なものにし、保護者との信頼関係を築くためにも、面談で注意するべきポイントを紹介します。

ポジティブな視点や意見を伝える

面談では、「園で迷惑をかけていないか」「何か指摘されるのかな」と不安な気持ちを抱えている保護者も少なくありません。
明るく笑顔で保護者を迎え、リラックスしながら話せる雰囲気を作ることが大切です。
また、課題や悩みなどについて触れる際にも、否定的な内容にならないよう配慮し、ポジティブな視点で伝えることが大切です。
面談は決して欠点を指摘する場ではなく、子どもの成長を共有する場であることを忘れないようにしましょう。

時間内に端的に話す

面談は、一人当たりの時間が限られているため、端的に話すことが大切です。
保護者も忙しい時間を割いて来てくれているため、有意義な場になるよう、大切なことは先に伝えるなど時間配分に注意しましょう。

保護者の話に耳を傾ける

面談では、一方的に話すのではなく、保護者の話に耳を傾けることも大切です。
子どもを持つ親であれば、誰しも子育ての悩みや不安などを抱えているものです。
保護者の気持ちに寄り添い、共感することで、信頼関係の構築にもつながります。
また、保護者の話を聞く際には、あくまでも「問う」のではなく「傾聴」する姿勢で向き合いましょう。
相談を受けると、つい保育士の経験や知識を踏まえてアドバイスしたくなるかもしれませんが、まずは話を最後までじっくり聞き、受け止め、共感し、解決に向けて一緒に考えることが大切です。

個人面談は子どもの成長を共有しあう場

保育園の個人面談は、園での様子や家庭での様子を共有し合うことのできる、貴重な時間です。
面談の中では、「うちの子は大丈夫なのかな」「子育てはこれであっているのかな」など、保護者の不安な気持ちにも寄り添いながら、一緒に子どもたちの成長をサポートする姿勢を伝えることが大切です。
また、保育士だけで解決できないことは、無理にその場で返答せず、主任や園長に必ず相談しましょう。
面談を通して保護者との信頼関係を築くためにも、しっかりと事前準備を整えて、双方にとって有意義な時間になるよう心がけてくださいね。

▼こちらの記事では、保育士の職員面談についても紹介しています。ぜひご参考にお読みください。
   

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